短歌誌「ぬはり」8月号発刊・季節の歌々
首都圏は本格的な夏がやってきました。
今年の梅雨は本当に長くて、しかも首都圏はゲリラ豪雨のような雨しか降らず、
しとしとと濡れた風情の楽しめる梅雨はどこへやら、猛暑の梅雨でした。
全国各地では線状降水帯による水害も多く、今年の夏もそうした被害に気を付けながらになりそうですね。
被害に遭われた各地の皆様に、お見舞いを申し上げます。
さて、今回の「ぬはり」8月号では、各集(クラス別)推薦歌に、季節を感じさせる歌が並びました。
8月号は4月や5月、6月に詠われた短歌です。
ぬはり集Ⅰ
白きつぼにミモザあふれて今日の日は国際女性デー青き青きそら 石井マキ
ぬはり集Ⅱ
穂を伸べて路辺の草の緑濃しひと葉ちぎれば匂ふ草の香 加藤道子
白雲集
満開の桜の下で迎ふるは六十三回の結婚記念日
松籟集
花色の日毎あせゆく芝桜かがめば香り強くたちこむ 小山史
万華集
見頃はと問ひ来し人を訪ねたり咲き初めの枝花束にして 藤原りつ
新墾集
春の気が日々に増しおり軽やかなわが身の動き野にはスミレも 目加田和子
北海道や東北地方の歌友の歌からは、春が遅く訪れた喜びなどが感じられます。
桜は3月や4月に咲くとは限りませんし、時には遅い春を北国からの短歌の便りで感じるのもとてもよいものですね。
ぬはり社短歌会の歌は、こうした日常の季節を詠んだ何気ない歌が多いです。
いまの現代短歌の様相からすると、ちょっと時代遅れに感じられるかもしれませんが、一周回って、そうした短歌がとても新鮮に思えたりするものです。
短歌の原点である和歌、そして歌を詠むことの日常は、ちょっとした人生のエッセンスをちりばめたもので、それを自らの身から生み出すときに、小さな喜びがあります。
地道に96年間、短歌のぬはり道を歩んできた当会ですが、これからもこうした何気ない歌を大事にしていきたいと考えています。
いまから夏本番、どうぞ読者の皆さんもお体をお大切にお過ごしください。
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